自家発電設備の点検方法が改正されました!
※改正前の問題点※
負荷運転実施の際、商用電源を停電させなければ実負荷による点検ができない場合がある。
また、屋上や地階など自家発電設備が設置されている場所によっては負荷試験装置の配置が困難となり、装置を利用した点検ができない場合がある。
これらの問題点を解消するために、従来の点検方法のあり方を科学的に検証し、改定を行いました。
改正のポイントは大きく4つ
6年間の合計料金の比較
参考例:東京都新宿区1階にある100kVAのディーゼル発電機の場合(2018年7月当社調べ)

1
負荷運転に代えて行うことができる点検方法として
内部観察等を追加
総合点検における運転性能の確認方法は
以前 | 負荷運転のみ |
改正 | 負荷運転または内部観察等 |
内部観察等の点検は、負荷運転により確認している不具合を負荷運転と同水準以上で確認でき、また、排気系統等に蓄積した未燃燃料等も負荷運転と同水準以上で除去可能であることが、検証データ等から確認できました。

負荷運転(A)または内部観察等(B)のどちらかの検査をしなくてはなりません!
負荷運転は以下のどちらかで行います。
■実負荷運転
建物に設置されている消防用設備等の負荷設備に対して自家発電設備から電力を供給し、運転状況を確認する方法です。
■疑似負荷運転
自家発電設備に負荷試験装置を接続して、運転状況を確認する方法です。
例)概算見積金額:10万円~
OR
以下の項目を確認いたします。
- 過給器コンプレッサ翼及びタービン翼並びに排気管等の内部観察
- 燃料噴射弁等の動作確認
- シリンダ摺動面の内部観察
- 潤滑油の成分分析
- 冷却水の成分分析
例)概算見積金額:30万円~200万円
※自家用発電設備専門技術者保全部門(社団法人日本内燃力発電設備協会発行資格)の有資格者のみが実施可能です。
メリットとデメリットの比較
点検内容 | メリット | デメリット |
疑似負荷運転 |
| なし |
実負荷運転 |
|
|
内部観察等 | なし |
|
2
負荷運転及び内部観察等の
点検周期を6年に1回に延長
負荷運転の実施周期は
以前 | 1年に1回 |
改正 | 運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合は6年に1回 |
負荷運転により確認している不具合を発生する部品の推奨交換年数が6年以上であること、また、経年劣化しやすい部品等について適切に交換等している状態であれば、無負荷運転を6年間行った場合でも、運転性能に支障となるような未燃燃料等の蓄積は見られないことが検証データ等から確認できました。

予防的な保全策とは?
不具合を予防する保全策として以下のような確認交換等を行うことをいいます。
予熱栓、点火栓、冷却水ヒーター、潤滑油プライミングポンプがそれぞれ設けられている場合は、1年ごとに確認が必要です。
潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、ファン駆動用Vベルト、冷却水用等のゴムホース、パーツごとに用いられるシール材、始動用の蓄電池等についてはメーカーが指定する推奨交換年内に交換が必要です。
※この予防的な保全策は、自家用発電設備専門技術者保全部門(社団法人日本内燃力発電設備協会発行資格)の有資格者のみが実施可能です。

例)製造メーカーが推奨する部品の交換推奨年数
交換推奨年数 | 部品名 |
1年毎 |
|
2年毎 |
|
4年毎 |
|
6年毎 |
|
例)6年間の合計費用概算:200万円(当社調べ)

メリットとデメリットの比較
点検内容 | メリット | デメリット |
保全策 |
|
|
3
原動機にガスタービンを用いる
自家発電設備の負荷運転は不要
負荷運転が必要な自家発電設備は
原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の無負荷運転は、ディーゼルエンジンを用いるものの負荷運転と機械的及び熱的負荷に差が見られず、排気系統等における未燃燃料の蓄積等もほとんど発生しないことが、燃料消費量のデータ等から確認できました。
以前 | すべての自家発電設備に負荷運転が必要 |
改正 | 原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の負荷運転は不要 |
4
換気性能点検は負荷運転時ではなく
無負荷運転時等に実施するように変更
換気性能の点検は
換気性能の確認は、負荷運転時における温度により確認するとされていましたが、室内温度の上昇は軽微で、外気温に大きく依存するため、温度による確認よりも、無負荷運転時における自然換気口や機械換気装置の確認の方が必要であることが、検証データ等から確認できました。
以前 | 負荷運転時に実施 |
改正 | 無負荷運転時に実施 |