仙台市の48市有施設が消防法で定める非常用自家発電設備の負荷試験をしていなかった問題で、一部施設はエンジンがかからないといった重大な不具合を1年以上放置していることが15日、分かった。火災による停電時に消火ポンプなどを動かせない恐れがあり、不特定多数が利用する施設を管理する市の姿勢が厳しく問われそうだ。

 各施設が消防署に年1回提出する消防用設備の点検報告によると、青葉区の折立市民センターは2016年1月の点検で発電設備のエンジンがかからず、能力の30%を目安に回す負荷試験ができなかった。
 青葉消防署に「不起動あり」と報告し、改善を求められたが17年1月の点検でも同じ状態だった。現在も修理していない。
 市民センターを所管する地域政策課の小山裕行課長は「不具合が判明したのは16年度の予算要求の後だった。本年度は予算を確保している」と説明。未修理のままになっている点については「消防から修繕の期限は示されなかった。強く指導されれば優先順位は上がった」と釈明した。
 若林区の中央卸売市場は16年3月の点検で冷却ファンを回すゴム製ベルトに亀裂などが見つかり、負荷試験を見合わせた。消防に報告したが、ベルトの損傷を放置。17年3月の点検で業者から改めて「早急な修繕が必要」と指摘を受けた。
 市場の川村徳義管理課長は「担当者の引き継ぎが悪かった。部品交換の手続きを進めており、年内には発電設備を動かせる状態にする」と理解を求めた。
 市が14年に策定した公共施設総合マネジメントプランは「安心して利用できる公共施設」を掲げ、長寿命化に向け適切な点検や修繕の必要性を強調する。
 プランを推進する市財政局の高谷昌宏次長は「各施設への指導は消防やそれぞれの所管部局が行う。財政局が重ねて指導する考えはない」と話した。

河北新報
<自家発電試験未実施>動かぬエンジン1年以上放置 仙台市有施設の一部、停電時消火ポンプなど動かせない恐れ」より引用