院内は停電に見舞われ、非常用の電源も水没し機能しなかったという。同病院は「被災者の支援などを優先しており、原因は現時点では分からない」としている。

6月18日に発生した大阪北部地震で被災した国立循環器病研究センターでは同日、約3時間にわたって停電した。停電時の自家発電機系統の送電線などが異常をきたして送電できず、電力は非常用バッテリーのみに。人工呼吸器など患者の命に関わる最小限の機器に絞って送電した。
同センターでは、電気事業法が定める自家発電機の年1回の点検を少なくとも5年間実施していなかったという。
経済産業省によると、電気事業法では、非常用電源など自家用の電力設備がある医療機関などの事業者は、電力設備が正常に作動するかを確認する定期点検の頻度などがまとめられた保安規程を策定し、同省に提出しなければならない。
しかし、事業者から実際に規程通りに運用されているかどうかの報告義務はなく、自主性に任されている。同省は不定期に立ち入り検査をしているが「全国に数十万以上あるとされる全ての設備を確認するのは困難」という。
一方、消防法では、学校や病院など建物の用途や規模によって、スプリンクラーや屋内消火栓といった消防設備の設置を義務づけている。半年に1回定期点検を行い、1年に1回、地元消防に報告する必要もあり、消防庁の担当者は「災害などの非常時に送電ができなければ、医療だけでなく消防の観点からも危険性が高まってしまう」と危機感をあらわにする。

産経WEST
被災地で相次いだ病院の電源喪失 BCP策定はわずか7・1%」より抜粋